第1回〜第5回 

第1回 「顔料・染料編」

いきなり始まりました、「DHに役立つ(かもしんない)塗料・塗装講座」
まず初回はお題がありましたので「染料と顔料」にします。

話の進め方は対話形式にしました。(特に意味無いが・・)

一応登場人物は
教える人(師匠)と教えられる人(05)の二人が話を進めてます。
ちなみに師匠と05はモデルはありますが実際の人物とは全く関係ありません。


師匠:
 「いきなり始まった塗料と塗装の講義だが、勉強する覚悟はできているか」

05:
 「えー、師匠から抗議されるようなことした覚えありませーん。」
師匠:
 「馬鹿者!そのこうぎではなーい!勉強する方のこうぎだ。
よく考えてからしゃべるのだ。」

05:
 「わかりました〜。と、今回は何を勉強するんですぅ?」
師匠:
 「おっ、結構素直だな。まずは顔料と染料の違いからだ。」

05:
 「そんなのどうってことないです。使い方が違うんでしょ。
顔料は塗料や絵の具なんかに使って、染料は字が表すように染め物に使うんですよ」
師匠:
 「うーん、そんなイメージで捉えている人は多いかもしれないな。
もちろんそれは違いといえば違いだが、これこそ顔料と染料の根本的な
成り立ちの違いからきているための使い方の違いなのだ。」

05:
 「何なんですか、その根本的な成り立ちの違いって?」
師匠:
 「そうだな、分かり易くいうと大きさの違いだ。染料は非常に小さい分子
(昔、習ったはず!)までに分かれているが、顔料はそれがかなりの
数が集まった結晶、言うなれば粉末だ。だから、染料は水などに(溶ける)
っていうけれど顔料ではそういわない、いうなれば(混ざっている)
といったところだな。」

05:
 「溶けると混ざっている?いまいち違いがわかりませーん」
師匠:
 「そうだな、たとえるなら(溶ける)は塩や砂糖が水に溶けるようなものだ。
(混ざっている)は水と油を一生懸命振って濁った状態やあるいは砂を水に
同じように振った状態だ。」

05:
 「その違いなら何となく解ります。でも(溶ける)はそのまま溶けた状態が
続くけれどその(混ざっている)状態はほっとくと分かれたり沈んだりしますよね。
塗料はそんなことが無いような気がしますが」
師匠:
 「うーん、いいところに着目するな。この(混ざっている)状態で塗料中の
顔料を安定にする事を(分散する)というのだ。すなわち塗料は顔料が
(分散)されたモノなのだ。それが証拠に古い塗料やあまり良くない塗料は
顔料が沈んでかちかちになっているのを見たことがあるだろう。
これは時間が経つにつれて分散がダメになったり、そもそも分散が
うまくいっていないのだ。これに対し染料では色が下にいったり、分離したり
する事はないのだ」

05:
 「そういわれればそうかも。下に顔料が固まった塗料を見たことがあります。」
師匠:
 「顔料は所詮、結晶だから粉であることには間違いない。
だから塗料では分散状態でしか、塗装後は塗膜の中でないと
安定して存在できないのだ。染料はもともと分子だから塗膜でなくても
繊維等に染着するのだ。」

05:
 「それが最初にいっていた、染めることと塗料にする事の違いなんですね」
師匠:
 「逆に言えば繊維を染めることができて、かつ簡単に色落ちしない物を染料といい、
水や溶剤に溶けない色を持つ微粉末を顔料というのだ。」

05:
 「うーん、塗料で染料は使えないのですか?また顔料を染料みたいに
使うことはできないんですか?」
師匠:
 「そうだな、そこの違いを次回の話としよう」

(つづく)

第2回 「顔料と染料2」

師匠:
「今回は顔料と染料がどんなふうに使われるかについてだな」

05:
「でも顔料と染料ってなにが違いましたっけ〜」
師匠:
「(ずるっ!)先回の講義はなんだったんだ〜〜がぁ〜!」

05:
「冗談ですよ、冗談!顔料は粒子で、染料は分子ですよね
そして塗料中での状態が違うんですよ。」
師匠:
「師匠をおちょくっちゃいかーん!血圧が上がるだろう!
(ただでさえ血圧高いのに!)・・・前回の最後の質問を繰り返すのだ」

05:
「塗料で染料は使えないのですか?また顔料を染料みたいに
使うことはできないんですか?」
師匠:
「そうだな、通常のことわざとは逆で(小は大をかねる)だ。」

05:
「小は大をかねる?」
師匠:
「そうだ、顔料の代わりに染料を塗料の中に着色剤として
使用できるが、染着のために顔料を染料の代わりにに使うのは
難しい。」

05:
「そうなんですか〜。どうしてですか?」
師匠:
「うん、先回の講義でいったように顔料は粒子なので、
繊維などを染色する能力は低いんだ。ちなみに顔料の粉を水に混ぜて
色を付けたとしても、洗濯すると簡単に取れてしまう。
これでは染色に使えない。染料は塗膜中に存在して色をつけることは、
難しいことではないんだ。」

05:
「でも、顔料の替わりに染料を使った塗料ってあまり見たことが
ないような気がしますが・・・」
師匠:
「それが、顔料と染料の性質の違いからきているものなのだ。
すなわち、
・顔料は粒子なので光に対する色あせが少ない。また不透明になりやすいが、
そのかわりインペイ力(下地を隠す力)が強い。
・染料は一つ一つが分子なので光に対して弱くなりがちで、顔料に比べ
色あせや変色が激しい。また、かなり小さいことから、にごりが
少なく、透明感の高い色ができるが、量を増やしてもインペイ力は
上がらない。
のだ。これは重要なポイントだ、試験にでるぞ!」

05:
「くかー!Z Z Z 。」
師匠:
「あほかー!、寝るんじゃない!」
05:
「冗談ですよ、冗談!すぐ怒るんだから」
師匠:
(無視して)「・・・というわけで、染料は塗膜としての
重要性能である下地を隠すことができないので、あまり使われないのだ。
逆をいえば、下地を隠す必要のない塗料には染料を使うこともあるぞ。
カラークリヤーやステインなどだな。」

05:
「それに、染料みたいに変色や退色がひどいとすると塗料としていろんなところに
使うのが難しそうですね。」
師匠:
「わかっとるじゃないか!そのとおりだ!こういう光に対する安定性を
(耐光性)というんだ。だから一般的に顔料は耐光性がいいし、
染料は耐光性が悪いといっていいな。もちろん例外もあるから
その点は頭に入れておくように」

05:
「イエーイ!褒められちった。」
師匠:
「すなわち塗料に求められる性能を満たすためには染料ではなく、
顔料である必要があるのだ。
という訳で塗料の基本性能、さらには塗料とはなにかという説明が必要だな。」

05:
「うーん、そういえば塗料って絵の具と同じなのかな、何が違うのかなー
よくわかりませーん!」
師匠:
「よしっ、次回は塗料とはなにかという話を進めていこう」

(つづく)

第3回 「塗料編」

師匠:
「さっ、今回は塗料とは?というお題についてだったな」

05:
「はい、はい、はいっ!」
師匠:
「なっ、なんだ、いきなり手を挙げたりして?」

05:
「えっへん!知ってますよ、塗料の効用。
1.物の保護
2.物の美粧
さらに付け加えると、
3.特殊機能の付与
ですよね」
師匠:
「なぬーっ、予習してきたな〜。そのとおりだ。
ただし、それは一般的な塗装であってミニチュア塗装には当然(2)の
要素が強いな。」

05:
「そうですよね、ミニチュアの塗装は究極
(いかに本物らしく見せるか)
ってところにかかってますから。」
師匠:
「なんだ、ホント今日は別人みたいに反応がいいな」

05:
「見直したか!」
師匠:
「そう偉そうにせんでもよろしい。それじゃ塗料の構成についていってみよう、
塗料の構成成分はまず大きく
塗膜成分(塗った後乾燥して塗膜になる成分)と
非塗膜成分(乾燥後揮発して塗膜にのこらない成分)
がある。」

05:
「難しい言葉で言ってるけど、非塗膜成分っていうのは
シンナーとか水とか塗料を薄めているものですよね。」
師匠:
「そうだ。そして、塗膜成分はさらに細かく分けると
・塗膜主成分(樹脂など)
・塗膜副成分(乾燥剤など)
・顔料
に分けられるんだ。すなわち、樹脂中に顔料があってそれで塗膜になる」

05:
「ちょっと待って下さい。そうすると、水彩絵具って呼ばれるものは塗料とは
違うんですか、塗膜ができてその中に顔料があるっていう感じじゃないですよね」
師匠:
「うーん、違いが難しいところだが、水彩絵具は塗料とはいわない。
水彩絵具は塗膜主成分の代わりにメジウムというものを使用する。
このメジウムも樹脂だが、役割が塗膜を形成するのではなく
顔料を紙面に定着させるという役割を持っているのだ。」

05:
「ふーん、それで、水彩絵具は塗膜を作っている
という印象がないんですねぇ。」
師匠:
「そう、だからこそ、塗料の主な機能である(物の保護)と
いうものがないので一般的に塗料とは言い難い。これは油絵具にも
言えることだが。」

05:
「そう考えるとミニチュアに塗る(塗料)と呼ばれるものは
塗料の効用を満たしていないから、そう呼んじゃいけないのかも・・」
師匠:
「まあ、そう難しく考えなくてもいいんじゃないかな。塗膜を形成
しているものはまあ一般的に塗料と呼んでも間違いじゃないだろう。
積極的に保護しているわけではないが保護ができない訳じゃないからな。」

05:
「おー、そう考えると化粧品なんかも塗料に近いですね〜。」
師匠:
「まあ、そういうことだ。化粧品も専門用語で(色材)の一種であることは
間違いないからな。まああまり化粧品のことはよくわからんが・・」

05:
「えー、それくらい知っておいた方がいいじゃないですか〜」
師匠:
「うっ、うるさい!今日の話はもう終わりだ!」

(つづく)

第4回 「色編」

05:
「突然、色の話ですがなんか漠然としてますね。
なにをやろうとしてるんです?」
師匠:
「うむ、まあ色はどんな感じで表現されるのかということを
中心に考えてみよう。ここにリンゴがあるがこの色を言葉で
表現してみてくれ。」

05:
「そうですね。真っ赤と言っていいんじゃないでしょうか」
師匠:
「その表現で他の人にこのリンゴの赤が再現できるだろうか、
かなり難しいんじゃないかな。真っ赤と言う表現が
色として普遍的に決まっているとは言えないんじゃないだろうか。」

05:
「うーん、そういわれればそうかも・・・、とすると色はどうやって
表現するとみんなに解るようになるんでしょうか。」
師匠:
「色の成り立ちは突き詰めてみると3つの要素から成り立っている
まずは色相:これは色合いのことだな、単純な色の違いだ
まあ虹の色の違いを思い浮かべてみるといい。
次に明度:読んで字のごとく明るさだ。
そして彩度:これは色の鮮やかさだ。
この色相・明度・彩度の組み合わせによって色は成立しているんだ。」

05:
「そうするとこの3つが数値みたいな決まった物差しで表現できると
色はみんなに解るような形になるんですね。」
師匠:
「そうだ。そのような数値化にはいろいろあるがよく出てくるものに
マンセル表記というのがある」

05:
「・・・アメリカで初めてUFOに撃墜されたという・・・」
師匠:
「あほーっ!それはマンテル大尉だ、全く関係ない!
つまらんこと知っとるな、おめーも。普通しらんぞ、そんなマニアックなこと・・」

05:
「いやー、そんなに褒めなくても・・」
師匠:
「褒めてなんかない!!話がそれまくりだ。
マンセルはアメリカの画家で色相・明度・彩度で分類した
色紙を作った人だ。これなどは見たことがある人も多いかも。
美術関係でもよく出てくる値だ。
ちなみにこのリンゴは2.5R/4.2/11.5と表される。
前の数字から色相/明度/彩度となっている。
これは色紙を見比べることによって表記が可能となった」

05:
「で、マンセルを知っておいたほうがいいと・・」
師匠:
「確かにマンセルを知っていると、色のコミュニケーションはとりやすい。
そこまで必要ないと思われる人でも、色の3要素は覚えておいた方がいい。」

05:
「またそれは何故?」
師匠:
「これから話をする、混色の理論はこの色相・明度・彩度が
深くかかわっているからだ。」

05:
「というわけで次回は混色についてですね」

(つづく)

第5回 「混色編」

05:
「師匠、今日は混色の話なんですが、これって難しいのでは?」
師匠:
「そうだ、難しい式でもあるが、ここは
だいぶ簡単にやろうと思う。だからちょっと感覚的だぞ」

05:
「私にも解るようにお願いします!」
師匠:
「OK!じゃまずは混色とはという話からだ。
混色には加法混色と減法混色の2種がある。
色光の混色は加法混色でたとえばテレビのブラウン管だ。
原色としては赤・緑・青が使われて、すべてを混色すると
白い光となる。」

05:
「小学校か中学校でなんか実験したような記憶がありますね」
師匠:
「これに対し塗料の混色は減法混色で、原色としては
黄・マゼンタ(赤紫)・シアン(青緑)が使われる。
この3つでかなりの色を再現でき、3種をすべてまぜると
ほぼ黒となる。」

05:
「それじゃ、色を作る際にこの3色があれば他の色は
あんまり必要ないんじゃないですか。」
師匠:
「そうかんがえるかもしれないが実際はそうではない。それには先回勉強した
色相・彩度・明度が絡んでくる。
 そのうち色相について良く目にするものにマンセルの色相環というのがある。
これがあると色の並びが非常に解りやすい。」

05:
「マンテルの色情狂?師匠のこと?」
師匠:
「マンセルのしきそうかんだ!色相環!ゴーインな聞き間違いはやめろ!
・・・通常は赤を一番上として時計回りにオレンジ・黄色・グリーン・
ブルー・バイオレット・赤と一周する色の輪だ」

05:
「なるほど、これでみれば色の組み合わせでその間の色ができることが
よく解りますね。と・・・じゃあ正反対の色を混ぜるとどうなっちゃうんですか。」
師匠:
「うん、いいところに目を付けるな。色相環で正反対の色を混ぜると
グレーになって色味が無くなってしまう。そう彩度が0のグレーになるのだ。
たとえば赤と緑だな。こういう関係を補色という。」

05:
「そうか、混色をすると彩度が下がってしまうんですね。色相環で近い色の
関係なら大きく彩度は下がらないけれど、色の関係が離れて行くほど
混色したときに彩度が下がりが大きくなるんですね。で、先ほどの3原色だけでは
きれいな中間色が出せなくなってしまう・・。」
師匠:
「そのとおり、だからこそ原色は自分の出したい色に近い顔料を選ぶのが
通常の色づくりのやり方だ。彩度を下げる方法はいくらでもあるが、
彩度を上げていくのは非常に困難だからな。」

05:
「そのとき明度は?」
師匠:
「明度は原色の明度によるところが大きいが、もし明度を上げようとして
白などを入れると必然的に彩度は下がる。明度・彩度共に高い色は
混色では出すのは困難だ。」

05:
「そうか、だからマンセルの色表では中明度で彩度の高い色はあるけれど、
高明度と低明度では高彩度の色表(色紙)が無いんですね。」
師匠:
「ようは、色づくりの基本は、顔料の原色を多く集めることが
重要だということだ。」

05:
「えー、せっかく3色だけで済ませようと思ったのに〜。」
師匠:
「そーいう姿勢がいかんのだ!もっと真面目にやりなさい!」


(つづく)